借入

借入において借入金月商倍率が考慮される理由

借入金月商倍率という言葉をご存知でしょうか。事業をなされている方なら、単に月商倍率と呼ばれることもあると言えば、ああとピンと来るかと思います。借入金月商倍率は、借入金総額÷(売上高÷12)で計算され、借入金の総額が1年間の売上の何か月分に相当するかを表す数字です。

個人の借入に関しては、年収の3分の1までに融資額を抑える「総量規制」という基準がありますが、企業の借入に関してはそういった基準がありません。そこで、貸す側としては、借入金月商倍率を融資をするしないや金額を決める目安の1つとして使ったり、借りる側においても、自身の会社の経営状況を確認する目安にしたりしています。借入金月商倍率が4ヵ月以内なら健全な状態と見ていいとされており、6ヶ月以内にまで達した時は要注意状態、10ヶ月を超えると実質破綻状態と言われています。過去に大手企業でも、借入金月商倍率が10ヶ月を突破してまもなく、資金繰りに行き詰ったというケースがあることから、借入においてかなり重要な指標となっています。

もっとも、こういった話は個人には関係ないと思われるかもしれませんが、実は借入金月商倍率は個人の借入においても、借り過ぎ防止の目安として覚えておいて損はないものです。例えば月収30万円でボーナスの40万円を含めた年収が400万円の人がいるとします。この人が借入を行なうとしたら、総量規制の基準で考えると、(4,000,000÷12)×3で約100万円となります。これを借入金月商倍率の考え方にあてはめてみます。なおボーナス分については、12分割で月収と合わせて計算します。そうすると、(200000+(400000÷12))×4で四捨五入で約93万円となり、誤差の金額部分は、実際に借入をしたときの利息の合計に相当する部分と考えれば、借り過ぎ防止の目安としてはほぼ使える範囲と言ってもいいでしょう。もちろん、実際の借入においては、銀行系の低金利なものを選択するのが基本ですが、借りすぎに注意する意味でこういった指標は頭の片隅にでも置いておくと役に立ちます。




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